今回はアンデシュ・ハンセンの「メンタル脳」を紹介します。
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最近、何かと不安になることが多いニャン。
この本によると不安になることは自然なこと。何も心配する必要はないんだ。
著者のアンデシュ・ハンセンは1974年生まれ、スウェーデン出身の精神科医。
名門カロリンスカ医科大学で医学を学びました。「スマホ脳」「ストレス脳」「運動脳」が世界的ベストセラーで。この「メンタル脳」はベストセラー「ストレス脳」を10代向けに書き換えたもの。
難しい話をけずり、結論をわかりやすく伝えています。
この本がおススメなのは、次のような人です。
不安を感じやすい人
不安を減らしたい人
孤独を感じる人
幸せを感じられない人
それでは、ポイントを説明していきます。
脳は何十万年前と同じ
この本の最大の主張は
人間の脳は生きのびるために進化した
ということです。
人類が狩猟採集民だったのは紀元前25万年前から紀元前1万年前。
そこから1800年までは農耕民族として生活をしています。
工業化が進んだこの200年弱の出来事。
さらにデジタル化が進んだのはここ30年ほどです。
狩猟採集民として生きのびるためには、あらゆる危険を遠ざけなければいけません。
当時、命をおびやかす危険といえば感染症、飢餓、襲撃など。
そのような危険には反応するように脳は進化しました。
今、わたしたちの命をおびやかすものはタバコ、交通事故、運動不足。
これらに対して危険を感じる本能はもちあわせていません。
脳が進化した時代には存在しなかった脅威だからです。
脳の進化と現代生活のギャップ。
これがこの本の最大のポイントです。
不安は生きようとしている証拠
狩猟採集民のままの脳であると考えると、わたしたちが不安になる理由がわかります。
わたしたちが不安になるのは生きのびるため
なのです。
狩猟採集民族であったとき、人類の主な死因は感染症、飢餓、殺人、出血、出産。
平均寿命は30歳程度で、2人に1人が10代でなくなる生活でした。
人間の脳が進化したのはズバリは生きのびるため。
脳が危険を察知するととある手段を使ってわたしたちを危険から遠ざけようとさせます。
その手段がズバリ感情。
例えば、崖のふちに近づいたら「怖い」という感情が湧きます。
「怖い」という感情がさせることは「足がすくむ」という行為。
崖から遠ざかると私たちは「安心」します。
これが人類が生きのびてきたメカニズム。
わたしたちが不安のは生きのびるためのメカニズムがしっかり働いていると考えていいのです。
ストレスとうつ
ストレスは身体や心への負荷に対する反応です。
健康のためのジョギングや学校のテスト。
適度なストレスは良い刺激になり、短期間であれば悪いことではありません。
これが長期間になると全く別の話。
長期間のストレスは脳が恐ろしい危険にずっとさらされていると認識してしまいます。
結果、脳が出す結論は「それなら引きこもらせて本体を守ったほうがいい」というもの。
それが気分の落ち込みとなってうつになっていきます。
運動が最強
ここまで現代人が抱える不安は脳が環境に適応できていないことから発生するとお伝えしてきました。
対処方法はあるのか。
それが運動です。
筆者は運動は最強と主張しています。
その理由を説明します。
運動をすると身体がストレスに過剰に反応しなくなる。
人類はもともと歩いて進化を遂げていました。
歩くことで身体を鍛え、身体を鍛えることで生きのびる可能性が増えたからです。
身体を鍛えると、脳が「これくらいの危険なら耐えられる」と判断しストレスが減っていきます。
どんな運動をするのが良いかと聞かれたら答えはズバリ
心拍数の上がる運動がベスト
です。
不安になると心拍数が上がります。そのままだと「心拍数が上がる」=「危険にさらされている」と脳が解釈し、不安になります。
運動が身体を鍛えることを理解すると脳が「心拍するが上がるのは体に良いこと」と誤解します。
子供を対象にした実験でも運動をさせた子どもたちで一番効果があったのが「精神状態が良くなったこと」という結果が出ています。
どんな運動でも不安を減らす効果が認められていますが、中でも心拍数が上がる運動がベストとする理由です。
孤独とSNS
人間の脳は生きのびるために進化したということがこの本を語る上で最も大切なことであると繰り返し述べてきました。
もうひとつ
孤独が不安を招く
ということも実はそのことに関わります。
狩猟採集民であった人間が生きのびるには他者との協力が必要不可欠。
群れから外され孤独になることはすなわち死を意味するのです。
これが孤独と不安の関係です。
ただし、孤独と判断するのは自分自身。
ずっと一人でいても孤独を感じなければ、それは「ひとりでいる」という状態。
逆に、10分でもひとりでいて孤独を感じればそれは孤独ということになります。
比較は危険
比較するということは「わたしはこのグループにいて大丈夫?」「このグループにいるだけの価値がある?」と常に不安にさらされることになります。
これは脳が進化した環境とは全く違う状況です。
特にSNSは比較の世界。
他人のきらきらした姿を見て、自分と比べてしまいます。
「自分が思っているヒエラルキーの位置」と「その人の精神状態」は大いに関係があります
他人と比較をして落ち込んでいると感じたら、SNSの利用を制限するのがよいです。
幸せになるためには
幸せな瞬間が訪れたらそれがずっと続く。
ということはありません。
狩猟採集民だった人類が満腹になり永遠に幸福を得たままだったら、数週間後には飢え死にしてしまいます。
お皿を洗って気持ちよくなっても、もう2度とお皿を洗わなくてよいということはないのと一緒です。
大きな家を買って、幸せな気分になったとしても、もっと大きな家に住んでいる人をうらやましいと感じ、もっと大きな家に住みたいという気持ちになります。
人間は常に満足する生き物ではなく、常に不満がある
だからこそ生きのびてきました。
それが脳の目的だからです。
追うと逃げるのが幸せ
ひらたくいうと期待をしないほうが幸せであるということです。
面白いと思って見た映画がそうでもなかった経験は誰にでもあるかと思います。
「暇だからちょっと見てみようか」くらいで見た映画が期待以上に面白かった経験もあるかと思います。
「期待して映画を見る」=「幸せを追う」
ことだと筆者は言います。
幸せのレシピとは
幸せになりたければ、幸せを追うことをまずやめるということです。
アメリカの大規模調査では「幸せな人生には何が必要か」という点を調べてきました。
結果、「家族、友人、同僚との関係が良いこと」でした。
また、幸せなどを求めることなく何かに夢中になっている瞬間が誰にでもあると思います。
いわゆるゾーンに入るといわれるものです。
この2つを合わせて筆者は
の2つを幸せのレシピと呼んでいます。
まとめ
いかがでしたが。
メンタル脳の主張をまとめると
脳は狩猟採集族のまま
不安は生きのびるためのツール
運動は最強
幸せは追わない
となるかと思います。
今回の記事が皆様のお役に立てていれば幸いです。
最後までお読みくださりありがとうございました。